12_7エタのはなし
こんにちは、雑草です。12記事目です。
本来このブログ、ミニコラムばっかりみたいなイメージで書いていくつもりなのにいつも想像の1.5倍くらいの長さになってしまいます……。
でも今日は短いです。
さて今日は微生物を扱う研究室の必需品、7エタについてです。
ではいってみましょう。
【目的】
7エタとは何かを知り、作り方を理解する。
【手段】
簡単に説明する。
【内容】
まとめ:7エタとは体積比でエタノール:水=7:3で混ぜた溶液のこと。
メスシリンダーで量って混ぜて作る。
なぜ70v/v%エタノール水溶液を殺菌につかうのでしょうか。
WHOでは、75~80v/v%エタノールが推奨されています。
この論文は結局何 %のエタノール溶液がいいのか、かなりのボリュームで論じています。
本ブログは実験レポートじゃないのであくまで緩く書くと、
「菌によってどの濃度が一番効果あるかは異なるけど、一般的に70~80%前後が最適解だから」って感じです。
ちなみに%を重量で考えるか体積で考えるかについてですが、上の論文ではこんなふうに書いてます。
”なお、局方では 15℃における体積パーセント濃度(v/v%)で表記され
てい るが、先行論文では重量パーセン ト濃度(wt%)または室温での体積パーセン ト濃度
(v/v%)での表記が主流であるため、本論文でも室温における体積パーセント濃度(v/v%)
で表記した。”
弊チームでは:体積(v/v)でやっていました。
作り方:2本のメスシリンダーでエタノールと水をそれぞれ量って、混ぜていました。
なぜエタノールをそのまま水でメスアップしないのかというと、分子の大きさが違うので700 mLと300 mLのエタノールと水を混ぜても1000 mLにはならないからです。
1000 mLより少なくなります。
(これ学生実験とかでたまに聞かれるやつですね。)
ですので別々に量って混ぜていましたが、よく考えたら効くアルコール濃度には幅があるのでざっくりでもいいのかもしれませんね。
マンガで「お酒で傷を洗う」みたいなシーンを見たことがある人も多いと思いますが、アルコールに殺菌作用があることは昔から知られています。
ですので色んな濃度のアルコール(エタノールに限らず)が殺菌に効くという話はかなり前からたくさん研究されていますが、上の論文によると特に古そうなのは”The Germicidal Action of Alcohol”(参考文献3)です。
アルコールが菌は殺すのになんで人間は死なないの?という疑問がわいてくると思いますが、それは人間が多細胞生物であるから、および皮膚が死んだ細胞だからです。
わかりやすいところだと花王のHPにこんなのがありました。
https://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/08/08_05.pdf
アルコール濃度の範囲によって殺菌するメカニズムが異なるようです。
7エタの範囲のアルコール濃度では、微生物の細胞膜を変性させて微生物を死なせるので、死んだ細胞が皮膚として表面を覆っている人間では問題ないのです。
ということで短いですが、7エタの話でした。
この後書く記事リストをメモに作ってるのに別のことを先に書いちゃってるので、なるべくメモにあるやつをさっさと消化しなくてはなと思っています。
今日は以上です。 お疲れさまでした。
★参考文献
1.WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care: a Summary,p29
2.神明朱美,"殺菌・抗ウイルス効果に及ぼすエタノール濃度の影響",2019,博士論文
http://www.thcu.ac.jp/uploads/imgs/20190605090207.pdf
3.Harrington C, Walker H. The germicidal action of alcohol. Boston Med. Surg J
1903; 148: 548-552.
これは有料記事なのでURLのせれません。雑草はがんばってDLしました。
4.花王HP
https://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/08/08_05.pdf
【メモ】
~今後書きたい記事~
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・参考文献