05_iGEMの実験の全体像(図がメイン)
こんにちは、雑草です。5記事目です。
前回に引き続き、見やすさや利用のしやすさから、原則すべての記事を同じ形式で書いていきたいと思います。
1つの記事の構成は以下のような感じで行きます。
1.目的
2.手段
3.内容
4.メモ(箇条書き)
【目的】
iGEMで行う実験の全体像を理解すること。
【手段】
図で視覚的に見てもらった後、説明を付記する。
【内容】
まとめ:iGEMの実験を大きく3つに分けると、以下のようになります。
1)目的DNA入りのプラスミドを作る
2)形質転換する(大腸菌にそのプラスミドを入れる)
3)大腸菌に目的タンパクを発現してもらい、そのタンパクや機能を定量的に測定する
この中で2)だけが、いわゆる「遺伝子組換え実験」です。
全然他の方法もあると思うのですが、私たちのチームでは、制限酵素よりも実験の難易度が低く確実なインバースPCRでプラスミドを線状化していました。
ベクターとはプラスミドのことだと思ってとりあえずOKです。大腸菌に目的DNAを持ち込むための船だと思ってもらえれば。
ベクターとインサートをくっつけて環状プラスミドにすることを「ライゲーション」といいます。
コンピテントセルとは弱らせた大腸菌のようなもので、市販もされていますし生物系の研究室では自分たちで作ることもあります。
遺伝子組換え実験では、普通の元気な大腸菌ではなく、プラスミドを受け入れる準備の出来たコンピテントセルを用います。
コンピテントセルに目的DNAを入れたプラスミドを混ぜて色々するのですが、ポイントは「全ての大腸菌に目的DNA入りプラスミドが取り込まれるわけではない」ということです。
そこで、毒入り(微生物を殺す抗生物質入り)の培地でこの大腸菌を培養して、本当にプラスミドを取り込んだもののみ生き残るようにします。
これをセレクション(選別)と言います。
プラスミドには普通Amp(アンピシリン)、Cam(クロラムフェニコール)、Kan(カナマイシン)などの代表的な抗生物質のどれかに対する耐性遺伝子が入っています。
だから、プラスミドを取り込んだ子は抗生物質に耐性を獲得して生き残れますが、プラスミドを取り込まなかった子は死にます。
つまり、12~16時間ぐらい経過して生えてくるコロニーは「目的DNA入りプラスミドを取り込んだ、自分たちがほしい大腸菌のみ」であるということです。
必要に応じて、十分な量に増やすために同じ抗生物質入りの滅菌済みLB培地などを使って液体培養します。
滅菌についてはまた別の記事で。
各実験の原理やプロトコルについてはまた別の記事で書きます。
今日は以上です。 お疲れさまでした。
【メモ】
~今後書きたい記事~
・知識共有編(スラックやメール転送など)
・用語集
・論文の探し方
・メダル条件
・iGEMあるある